2020年 discosPAPKIN 心のベストテン

昨年は世界がコロナ禍に見舞われ仕入れも入荷も不安定。。今までに経験した事の無い一年になりました。ですが、皆様のお陰で何とか乗り切ることが出来ました。まずは心より感謝申し上げます。

2020年の素晴らしい音楽との出会いをここに。
コロナウィルスが猛威をふるっても音楽が無くなる事は有りませんでした。寧ろ、こういう時だからこそ産まれ、出会えた作品も有りました。そう、「音楽の持つ偉大な力を改めて感じた一年」でも有りました。そんな一年を振り返りながら2021年の英気へと転換していく気持ちで今回はセレクトしてみました。
既に売り切れのタイトル多多ですが、再入荷出来る作品もございますので、何かございましたらお気軽にお問合せください。そしてここから2021年のdiscos PAPKIN の動向をチェックして頂ければ。
また、今年はベストテン外で気になる作品、注目作もピックアップしました。
単純に10枚に絞れなかった、という訳ではありませんのであしからず。
これからの当店が注目すべき流れなんかも考えての選考になってます。
そして毎年同じことを言ってますが、ここに入っていない作品も素晴らしいものばかりで基本、当店のカタログに並んだものに順位なんてつけることができないのですが、その中でも特に印象深かったり思い出深いもの、そして今後の展開などに繋がるものと言うことで選んでます。

1.Son Rompe Pera / Batuco


一昨年にこのバンドの存在を知ってこのデビュー作のリリースを心待ちにしていました。メキシコシティ出身のバンド、Son Rompe Pera。初期衝動のエネルギーに音楽的挑戦は僕の心を燃やしてくれた。中南米のフィルターを通した『今』のパンク。LP、B2、CD7曲目、Laurel Aitken もカヴァーした「Mi Vida Sin Tu Amor」は昨年のDJ で一番かけたと思う。今すぐ新譜が聴きたい。それくらい大好きです。


2.Contento / Lo Bueno Esta Aquí

不謹慎な言い方かもしれないけど、このレーベルと深く繋がったのはコロナ禍 のおかげかもしれない。世界各地で経済がストップ。その影響はもちろん音楽の世界でも。そんなあの時期、コンタクトしてくれたレーベルがいくつかあった。その一つがこのリリース元のEl Palmas Records。2020年に5タイトル、2019年には1タイトルをリリースしているこのレーベル。どれもそれぞれ個性があって素晴らしいのでぜひ、レーベル名を覚えて欲しい。ヴィンテージ・ヴェネズエラ音楽集のColor De Tropico も良いんだけど、その中でも僕はこれ、かな。自身の音楽を「サルサパンク」 と銘打ち、サルサの新次元を創造した一枚。現代ならではのスマートな表現方法とDIY 感になるほど。このデュオのドラマティックな出会いからも漂う確信犯な匂い含め、やられた。


3.Caribombo / Camaleon

当店が大プッシュするレーベル、Galletas Calientes Records。ダンスフロア直結なラテン、カリブ、アフリカ音楽の今を発掘/発信する重要レーベルからリリースされたヴェネズエラのヴェネズエラのDJ/プロデューサー、Caribombo のアルバム。数多くの地域の音楽性を鏤めたトラックはまさにグローバル・ベイスと言うもの。その情報量の多さと、違和感無く一つのアルバムに落とし込んだセンスに脱帽。今、DJ で一番かけたいのはこういうの、かも。2021年もGalletas Calientes Records の快進撃は止まらないはず。見逃し厳禁でお願いしたい、です。


4.Grupo Kual? / Amor Regresa Ya

もうこれは夢のような一枚、でした。慌てて2枚、個人的に購入しました笑。メキシコシティのサンファン・アラゴンで結成されたクンビア・ソニデラ・グループのGrupo Kual? の7インチ。彼らは2019年の当店ベストテンにランクインしたリラ・ダウンズのアルバムにも参加していました。やはり、このソニデラ・シーン、注目されているという事でしょう。で、まさか7インチがリリースされるとは、、システムで爆音でかけたいヤツ、ナンバー・ワン。リリースは2019年にソニデラ・ユニット、Grupoi Jejeje をリリースしたDiscos Rojas より。このレーベルも見逃し厳禁でお願いしたい、です。


5.Barrio Joyride / Cool It

マイアミのレーベル、Mango Hill Records。2018年にこのレーベルのオーナーである、Jason Joshua の1stシングルを取引先のリストから見つけて一聴で虜に。現行のブーム、では無く時代が追いついてきたスウィート・ソウル、チカーノ・ソウル、ソウルディーズのシーンに属する素晴らしい音源をハイペイスに発表し、上手い事やっている。そんな中から僕野市版のツボだったのが現在の西海岸のこのシーンの中心人物と言えるジョセフ・キニョーネスのグループ、Barrio Joyride の7インチ。西海岸ならではな突き抜けた気持ち良さが堪らないグルーヴィンなSide A は良くかけました。一度聴いたら耳から離れないキャッチーさ、口ずさんだりもしてた。このレーベル、今後も楽しみなリリースが続くのでお楽しみに。


6.Night Owls / Groovin'

LA ジャメイカ音楽シーンのオールスター級キャストが名を連ねるバンド、Night Owls の4枚目のシングル。ヤング・ラスカルズの大ヒット曲、Groovin' をレゲエに。カヴァー曲のセレクトが実に良いこのバンド。今作も間違いないところを選んできた。で、アレンジも。流石、手練が集うバンドだからこその一枚。これまでのリリース作はどれも外し無し。アルバムのリリースが待ち遠しい。


7.Guedra Guedra / Son Of Sun

昨春、コロナ禍の自粛期間中の楽しみだったYoutube やSoundcloud、Mixcloud でのDJ やライブのチェック。その時に出会ったのが彼、Guedra Guedra。Boiler Room でのライブはあまりに強烈過ぎて10回は観たかな!?で、色んな人にラインでリンクを送ったりも。モロッコはカサブランカの出身。北アフリカ、モロッコの伝統音楽をエレクトリックな手法でアップデイト。ベイス・ミュージックの流れにリンクしながらもハウス・ミュージックのエッセンスものせつつ、その芯にはレイブやパンクのスピリットまで感じさせる音楽性はオンリー・ワン。今一番、ライブを体験したいのは彼かも。吹き出すアドレナリンを感じたい。


8.Orkesta Mendoza / Curandero


CALEXICO のメンバーとしても活躍するマルチ・インストゥルメンタル・プレイヤー、Sergio Mendoza 率いるORKESTA MENDOZA の最新作。このバンド、間違いないですね。半歩先を行くちょうど良さ。早過ぎず、遅過ぎず、一番良いところを攻めてくる。これは簡単じゃないですよ。今作のテイマはブガルー。ミクスチャ音楽の源流を手本にし、ミクスチャ・ラテンの最前線をクリエイトって凄いこと考えるな。しかもこれだけのカタチにするってやっぱリ凄いわ。個人的な事ですが今年いっぱいかけたい一枚。


9.Candeleros / EP

前述のGalletas Calientes Records から7インチをリリースしているマドリッドのサイケデリック・クンビア・バンド、Candeleros のデビュー作。当時はデータとCD?で販売していたそうだが、3年の月日を経てヴァイナル化。中南米の移民からなるこのバンド。マドリッドと言う活動拠点の土地柄からか、それとも僕の勝手な思い入れなのか、バルセロナの混血音楽の系譜をバックに感じる。その芯はパンクと言うか。その進化系としても僕は聴いていた。独創的でクレイジーなアイデアで新たなクンビアをこれからも聴かせて欲しい。その血にはメスティーソのDNA が、、、


10.Karamushi & COPA SALVO / Pandemic Corona

そして昨年を象徴する一曲と言えばこれでしょう。厚木のメッセンジャー、Karamushi氏と唯一無二のラテン音楽の創造にトライし続けるCOPA SALVO がタッグを組み、コロナ禍を一刀両断したこの曲。この事態が収束した時にきっと、あんな曲あったよね、なんて話題になるだろう、今この時を歌う歌として後世に残すべき曲は、音楽ソフトとしてカタチにしておくべき一枚。まだ未聴という方はぜひチェックして下さい。昨年、何度か両者がステージをともにする機会がありましたが、回を増すごとに素晴らしいものに。今年もきっとやると思いますので、ぜひ生でも体感してください。あ、COPA SALVO は何やら動き出しているようですよ。こちらもお楽しみに!!


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Nkumba System / Bailalo Duro!


近年のクンビア・シーンにおいてFrente Cumbiero 周辺の動きは世界的に見て目玉となりつつあるよう。(その辺を日本で、紹介しているオクラ印のリリースはもちろんチェックです。)そんな中、またその周辺のバンドが登場した。Romperayo のギタリスト、Guillo Cros が率いるプロジェクト、Nkumba Sysytem のデビュー作がスゴい!と言うか、超好み。アフリカ、中南米、カリブなど様々な音楽要素を抽出し、オリジナルブレンドで配合したニュー・トロピカル・ミュージック。Romperayo もまた新作7インチをリリースするみたいだし雨後の筍状態でバンバンリリースお願いします。追いついていくから。


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Docteur Nico / Dieu De La Guitare

これは本当に素晴らしかった。コンゴ、アフリカンギター・キング、ドクチュール・ニコのベスト盤。78回転、45回転からセレクトされたレア曲。と、言えどもその敷居はけして高くなく、聞き慣れない方でもアフロ・ラテン音楽の素晴らしい世界へすんなりと連れて行ってくれるはず。リリース元のPlanet Illunga はこう言った切り口でアフリカ音楽の復興に力を注いでいる素晴らしいレーベル。本作を手にした方ならばお分かり頂けるだろうが、その仕事内容からすればこの値段もけして苦にはならない、はず。これからのリリースも楽しみにしている。


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VA / La Locura De Machuca


アフリカ、ラテン音楽の復興、と言えばやはりこのレーベル。Analog Africa。毎度、手抜き一切無し、音楽愛たっぷりの仕事にはリスペクト以外ない。で、昨年はこれでしょう。コロンビアで最も独創的で独特なレーベル、Discos Machuca のカタログの中から、特に灰汁の強いB 級巻溢れる楽曲を中心にセレクトした本作。もう、変な曲ばかり。でも、この辺の曲がRomperayo だったり現行のバンド、プロデューサーたちのテキストになっているのは間違いないわけで。


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Sonora Casino / Trompeteros

で、リシューと言えばスペインのVampi Soul からのラテン音楽復刻シリーズも見逃せない。ロッド・スチュアートのカヴァーで有名なCumbia Moderna De Soledad にペルー・ラテン史上最高峰の一枚、Alfred Linares の再発などラテン好きが待っているところを届けてくれる嬉しすぎるシリーズ。本作もその一枚。ペルー・ラテンの超レアーな一枚。もちろん、レアーなだけじゃなくて内容も最高。じっとしていられないグアヒーラにクンビア、サイケデリック・クンビアを収録。今年も良作待ってます!!


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Jazz Woman / malefica

近年では混血音楽シーンの勢いは落ち着き、ヒップホップ市場が賑やかになっているような気がするスペイン。(それは世界的な視点から見てもそうなの、かな!?)で、そんな中でも女性ラッパーの作品が特に面白い。Tribade、Mad Muasel など良作を入荷させました。中でも一番気に入ったのがJazz Woman。ヴァレンシアの出身で、Machete en Boca やPeriferia Norte といったグループでも活動。本作は彼女の2枚目のアルバム。現行のヒップホップの流れを汲みつつ、スペイン語圏の音楽を取り入れるアイデンティティ感じさせる「訛」が面白い、良いんだよね。


以上が2020年の心のベストテンです。
Barrio Joyride、Night Owls のチャート・インはまさに昨年を象徴。唯一の中東勢、Guedra Guedra も(私的には)昨年ならでは。個人的にはスロウな音楽に惹かれているというのも有りましてメキシコはモンテレイのスロウ・クンビア、レバハダやそのインスパイア系を探したい2021年。ブガルー、ロックステディ(ボレロを感じさせる)辺りも。ヒップホップも面白いんだよなー。フォルクローレのゲットースタイルな電子化モノも。もちろん、ageageパチャンカ系も大好きなので南米の灰汁の強いヤツなんか見つけたいな。興味は尽きないのでなんてこと言ってますが、これは!と思うものを今年もざっくばらんに胸を張ってご紹介したい、そう思っております。
今年もdiscos PAPKIN は常に変化/進化しながら、素晴らしい音楽を伝える窓口となり、皆さんと共有し、一緒に音楽でハッピーになれるよう熱く熱く努力して行きます。
どうぞよろしく御願いいたします。
店主 Amemiya KSK